桐野夏生のOUTを読み終わった。
前半部の登場人物の説明のやり方とか、視点(主人公)を段落ごとに変えているところとか、感心(笑)してしまった。うまいじゃないの、と。
そして、起承転結の定跡の通り物語は進むのだが、しっかりとリアリティがあり、主婦4人他の心理も細かく描写されていて、おもしろく最後まで読めた(結論は個人的には好きじゃないけど)。男の僕に共感させたのだから、女性、特に主婦には圧倒的な共感を得ただろうことは想像に難くない。ベストセラーになったのもうなずける。ただの大衆小説のフリをしているが、解説で松浦理英子が書いている通り深読みすることもできる(僕は解説のようには思わなかったけども)。
ただ、どうだろう。後半部、つまり転から結にかけて急ぎすぎてはいないだろうか?作者が書くのが楽しくて楽しくて筆をとめられなくなっているのが手に取るように判る文章になってしまっている。そのおかげで読者も走るように読めるのだが、前半部にあった文章の深みというのかなんと言うか、それが欠けている様な印象を持った。僕が言えたことじゃないかもしれないし、作者が狙ってやったことかもしれないが、あえて書いてみた。
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