写真美術館のアピチャッポン・ウィーラセタクン展。
彼の作品を見ていると、自分の記憶の扉が開かれる。作品の中に(特に映像作品の中に)誰しもが経験することのイメージが織り込まれているのだろう、それがフックになり、子供の頃の記憶が呼び覚まされる。
写真美術館のアピチャッポン・ウィーラセタクン展。
彼の作品を見ていると、自分の記憶の扉が開かれる。作品の中に(特に映像作品の中に)誰しもが経験することのイメージが織り込まれているのだろう、それがフックになり、子供の頃の記憶が呼び覚まされる。
永田カビのさびしすぎてレズ風俗に行きましたレポkindleにて。
世界と自分との関係性や距離がつかめなくなった作者が、その解放の象徴としてレズ風俗に行ったというルポ。という体だが、実際はその前段階たる自分や家族との関係性を分析して言語化・図示したという代物。
作者は自分の本心がわかっていなかったこと(今は一部わかったということだろう)を悔やむ。自分に引き付けて考えれば、私はこの歳になっても自分の本心がわかっていないし、社会生活をまっとうに送っているつもりだけど、それは社会性の仮面をかぶって社会に生きているだけ。ある程度自覚はしているつもりだけども。
作中、最も感動的な一節として、“予約まで”の章で「世界が広くなっていた」というセリフがあるのだけど、自分にとってもそういうことがあったなと振り返らされた(風俗ではない)。逃げ恥にて百合ちゃんが風見に「あなたが思っているより、ずーっと遠くまで行けるのよ」と言ったシーンを思い出した。(日産がスポンサーなのは目をつぶった)
この作品という意味よりはもうちょっと広く、物語一般について、物語の力に素直に感動した。作者が作中先人の作品を引用し、それに救われる様子が描かれるのだけど、この作品も少なからぬ人を救うだろう。
井土紀州監督の彼女について知ることのすべて。DVDで。
色合いなのかカット割りなのか、古臭い垢ぬけない映像だなという印象を持ちながら観た。意図的なのか、作風なのか、それはそんなに興味はないのだけど、火曜サスペンスみたいなそういう温度感の映像でした。
プロットも良く言えば伝統的な、悪く言えば古臭いもので、スタイリッシュなところはまるでない感じのお話。
女優の表情が白々しいなとも感じたのだけど、三千代を演じている人が演劇の人みたいで、それが理由かなと。メイはラストのシークエンスでの表情が素晴らしいと感じた。全般的に画面が暗かったりするので、表情がイマイチだなと思っていたのだけど、ラストのシークエンスではそれまでの画面とは全く違う表情を見せてくれ、笹峯愛の表情の幅の広さを感じた。
脚本と演出に納得感が薄かったかな。メイが真山に体を許す下りがよくわからなかったし(許さなければすべてうまくいったのでは?まあラストの伏線的とすればすんなり納得いくけど)、競輪選手が殴るシーンの拳と顔が離れすぎだし、競輪選手の太もも細すぎだし、もうちょっとやりようあるでしょ的な。
熊鹿るりのとある結婚。
ここまで深く考えてしまったら、結婚なんてできないよね。結婚ってなんなんだろう。まだよくわからないよ。
山戸結希監督の溺れるナイフ。女子中高生に囲まれながら映画館で。ほぼ満席。
個人的にはよくまとめたんじゃないかと高評価。パラりと原作読むと、こりゃ原作ファンは受け入れられないだろうなとそれはわかりました。基本的には過剰な映画で、一方で原作ファンには欠損のおおい映画なのだと思いました。
ストーリーも野太くはなく、あくまでも美しい映像とバックグラウンドというにはあまりにも主張の強い音楽を推進力に、映画は進んでいく。菅田将暉と小松菜奈が追いかけっこをするシーン(森の方)、大きな水たまりを菅田将暉が飛び越えるシーン(、ほかにもたぶんあったが忘れた)、これは映画の魅力を存分に発揮していたと思う。また、指の動きか何かに合わせてBGMがかかるシーンも実に映画らしい心奪われるシーンだった。
加点法で観ていくと、映画の喜びに浸れるのだけど、減点法で観ていくと、引っかかるところの多い映画だとは思います。
上白石萌音がスクリーンに移るシーンはかなり限られるのだけど、非常に印象に残る素晴らしい演技をしている。
音楽があまりに過剰でうるさいという意見には同意します。
gaga.ne.jp
鳥飼茜の先生の白い嘘は、なぜこんなに不快なのか。レイプものだからなのか?餌食となる女たちが早藤の思うがままに振る舞ってしまうためなのか?暴力性をあるがままに描き沈黙による肯定をしているように見えてしまうからか?
庭園美術館へボルタンスキー展を観に。
まあ、こんなもんかなと。あの、指向性の高いスピーカーで遊べそう。
www.teien-art-museum.ne.jp
片淵須直監督のこの世界の片隅に。「こうの文代」の5文字を眺めるだけで泣ける人種なもので。
抑制の効いた表現の破壊力、これを味わいました。
konosekai.jp