戦場のピアニストを見た。
抑制された映像がかえって残酷な内容を際立たせていた。エイドリアン・ブロディの演技、哀しいピアノの音色。全てこの作品の雰囲気を作るのに一役買っている。印象に残ったのは物語の最後のほう、ドイツ将校がシュピルマンに食べ物をわたし、缶切りをわたし、自分が着ていた外套をわたしたシーンだ。あのシーン、シュピルマンがピアノを弾くシーンがこの物語において数少ない救いのシーンだ。しかし、ポランスキーは安易な救いで終わらせない。その将校は救われることなく、ソ連の強制収容所で死んだことが最後の字幕で知らされる。このエピソードによってこの映画は単なる感動物語になることから開放されている。
ロマン・ポランスキー自身がナチス占領下のポーランドにいたことがあるらしいが、それが作品に影響しているだろうことがうかがえる、一方的な断罪に終わらない、哀しい映画だ。
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