女生徒

 太宰の女生徒を読んだ。
 すべて女性を語り手とした独白体で書かれている短編で、読者に訴えてくる。とても繊細に女性心理を書いており、太宰の力がうかがえる作品だと思う。
 いくつかの作品に出てくる女性は心にキズを持っていたり、周りの世界とのズレを持っていたりしていて(保坂和志が「生きる歓び」で触れた『ビョーキ』のこと)、太宰自身とよく似ている気がする。実際、最初に収録されている燈籠の主人公である少女は太宰自身であると告白している。そのため、感情の機微も細やかに捉えられていて、苦しさ、哀しさなどの感情がダイレクトに伝わってくる。陳腐な表現を恐れずに言えば、誰にでもあるだろう『ビョーキ』がこの小説に描かれているそれと共鳴する。
 太宰の小説の特徴かもしれないが、なんか自殺したくなるような作品だ。

女生徒 (角川文庫)

女生徒 (角川文庫)