江之浦測候所

 杉本博司設立の江之浦測候所。午後回で。

 海岸線からすぐに高台が立ち上がるような地形で鈍角の湾に面しており、(訪問日の天気が良かったこともあり)そもそも「いいところ」。みかん畑レモン畑が敷地内にあり、それも良い。そこに土地と縁もゆかりも無い時代もバラバラ土地もバラバラなものが、化石から現代芸術まで杉本博司の嗜好で設置配置されていて、最初の印象としてかなり悪く、いびつでグロテスクな印象を受けた。やはり縁もゆかりもないので、「用の美」的な美しさからほど遠いのがマイナスだったと思う。悪趣味と感じた。

 しかしながら1時間もその世界にいると、慣れもあるのか拒否感情が薄れ、また歩を進めみかん畑の坂道や竹林の小径を歩いてみると、むしろその人為的な数多の造作にもかかわらず、その造作を受け止めむしろ飲み込もうという自然の雄大さが強調されているように感じ、私としての面白がり方を掴んだ感はあった。

 あまり言語化できていない。

 歩きながら、今やしっくりきている体で日本社会に馴染んでいるが、初期の仏教もグロテスクと思われたのかな。明らかに浮いているお社に感じる圧倒的な違和感についても、今日本にあるいくつかの名刹については元々は極彩色立ったようだし。

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