中島哲也監督、中谷美紀主演の嫌われ松子の一生。DVDで。
2時間ちょいの映画ですが、最初の1時間観るのが辛くて辛くて。濃密な動く写真を1時間みっちり詰め込まれたら、うんざりすると思うのだけど、世の中的にはそうでもないのかしら?緊張と弛緩が欲しいのに、ずっとコントラストのきつい映像とやかましい音楽が続く1時間。1時間ほど経つと、弛緩するシークエンスが現れて、しかもこちらもこのDVDの作法に慣れて、やっと感情移入することができはじめたように思う。
川尻松子の一生を追いかけながら、同時進行で戦後日本の歴史を見せられる。なので、後述するようにブラウン管のTVが物語進行上、重要な役割を果たす。
脚本演出の問題として、過剰な説明と視点が不安定なことが挙げられる。エイヤでミュージカル調にして省略をかますエピソードもあるのに、だいたいにおいてセリフか、TVCMのテロップおよびセリフか、ミュージカルの歌詞にて、過剰に説明をするという誤ったメリハリが利いていて、観ていてバカにされているのかなと思う。
また、瑛太演じる笙に語らせているのかと思いきや、笙が知るはずもない(夢で何でも片付けられないだろ)エピソードに展開されたり、都合よすぎますよ。フィクションであることを強く主張すれば何でもしていいわけじゃないと思うんですわ。
要するにCMの拡張でつくられた映画(のようなもの)は観ていて辛いんですわ。
ただし、最後の空撮のロングシークエンスは別。あれは感動的だし、映画の心地よさそのものだと思います。批判的に観たけれども、あのシークエンスには心奪われました。
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2006/11/17
- メディア: DVD
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