ブラジル展

 近代美術館でやっていたブラジル展に友達の勧めで行ってきた。
 一言で言うとおもしろかった。テーマ(?)をブラジルなんて大きな枠で括ってしまったがために、すっごい幅が広くなってしまって、僕自身は消化不良を起こしてしまった(笑)
 今までで見た展示で一番「心が動いた」(うまい表現が見つからない)展示だった。僕にとっては史上最も生きている「アート」だった。最初に展示されていたキャンバスに油絵具を盛ったものも生々しいっていうか肉々しいっていうか、身体的(⇔精神的)そうフィジカルなものだった。っていうか、気持ち悪かった。
 映像作品はファベーラ(貧民街)での人種差別、人権蹂躙とアートでもって戦うというか、これもはけ口として表現するしか道がないみたいな、みんなが知らないことを知ってもらおうっていうような試みだった。こういうことを知ったときはいつものことなんだけど、僕はつれない気持ちになった。「こっち側」の世界で何も知らずにぬくぬくと生きてる自分に自己嫌悪の念はあるものの、実際には何一つ行動を起こしていない自分がいて、矛盾に苦しんだ。下んないけど。
 その次の作品は金属板を蝶番でくっつけたものがレプリカも置いてあって、見に行った人たちがそのアートに参加できるようになっていた。メビウスの輪をず〜〜〜っと切っていくものとか、へんてこなマスクとか、ストッキングの生地みたいな白黒のナイロンでできた空間に入って通り抜けられるものとかがあった。どれも体に訴えているところが共通していた。
 最後の写真と映像を用いた作品は僕にとってはイマイチだった。ヨーロッパ趣味だった。
 総じていえばすごくおもしろかった。アートというものの枠が俺の中で広がったのは間違いない。
 俺もこういった「生きたもの」をつくりたいと思う。