マルセル・デュシャン展

 この前できたばかりの国立国際美術館マルセル・デュシャン展を見に行った。
 いかんせん美術については不勉強なので、デュシャンの哲学が理解できたかといえば全然できなかった。普通の絵とか彫刻とかであれば、予備知識とかは特に必要ないわけで、ただその作品に触れて何を感じるか、だと思うが、デュシャンを始めとするレディメイドのような既成の美術観念の破壊を目的とするような芸術は、それすなわち「既成の美術観念」を知らなければ何もおもしろくない。もう少し勉強してから行くべきだった。
 ただ、後半のほうに、デュシャンの作品へのオマージュや、批判的な作品(レディメイドという既成観念の破壊が、逆に既成観念となってしまうという倒錯)もあり、デュシャンの代表作L.H.O.O.Q.への破壊的な意味を持つと思われる椅子の燃えカスなどを樹脂で固めた作品が印象に残った。
 建物自体も地下に作ったとは思えないほど展示スペースが広く、ちょっとうれしくなるほどだった。なかなかいいんじゃないでしょうか?常設展にもピカソ、セザンヌがあってよかった。