星野智幸×古谷利裕

 本人たちが言うように、どっちも人前でしゃべるのはあまり得意でないみたいで、とつとつと両人が対談したのだが、何か、自分のテリトリーに入られたときは口調がぱちっと切り替わって雄弁になっていた。中上健次という、ある時代の象徴というような小説家について対談していたわけだが、どちらも熱く語るという風ではなく、二人が立場を異にするというわけでもなかったし、物足りないところも多々あったが、それでも、2人の生の声でもって意見を聞けたというのはかなり貴重な経験でもあった。時間があれば食事会のほうにも行けばよかった。