死期の迫った老詩人アレクサンドレ。旅に出る直前に出会った難民の男の子。娘夫婦に売られてしまった海辺の家。19世紀の詩人ソロモス。いくつかの事柄が交錯し、豊かに膨らみながらカメラはアレクサンドレの姿を追う。
スクリーンの前、こちら側からではなく、実際に映画世界の中に入り込んで物語を見ているように錯覚するカメラの視点。カットはやはり長く、闇や沈黙、死ぬことを恐れるように動き続ける。アレクサンドレも動き続ける。動き続けながらも、写真のように構図が決まっていて、画面が異常に美しい。カットを変えることすらせずに現実と空想が同居していて、著しく有機的な映画だった。これはいいですね。アンゲロプロスいいなあ。何作か観てみようと思う。何か宮崎駿を連想したのは僕だけだろうか。
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