黒木和雄のTOMORROW 明日。戦争映画っていうか、黒木和雄の映画ってつらい。
父と暮らせばは宮沢りえだけでもって観れちゃうくらいのものだったけど、それ以外の黒木和雄の映画ってまじめ過ぎて観るのがつらくなる。戦争映画なのだからというのは正論なんだけど、伝えたいことがフィルムに詰められているのだから、最後まで観せないと意味がないわけで、とか思うほど序盤はつらい。淡々としている分つらい。でも中盤に入ってくると、後は観ずにはいられない感じで、素直に戦争や、生活や、その他もろもろ考えさせられる。もうこれが戦争だし、歴史なのであって、教科書に載るような太文字で書かれた事柄だけが歴史ではないということを、人々の1日の生活の描写を淡々と描くことによって訴えてくる。冒頭に
人間は
父や母のように
霧のごとくに
消されてしまって
よいのだろうか
という一節が提示され、また、序盤でカレンダーをめくり、映画の世界が8/8だという描写があるのだけど、つまり、この映画に描かれる、今後一切の人間の営み、生活、思いは明日に「霧のごとくに」消えてしまうわけで、もうすべてがつらい。明日があるということは、生活の大前提なわけで、戦争下でありながらも、人々はやはりそれを信じているわけで、もうつらい。結果がわかってしまっていることって本当につらい。この心の痛みを共有することが、戦争をなくすことそのものだと思うし、その点で、よくできた映画だと思う。
個人的には、アレだけ今日は8/8とアピールしているのだから、夜明けと人々の生活を描けば十分で、つたない合成と、記録フィルムのきのこ雲は、この映画には不要だった。描き過ぎってやっぱりよくない。
監督助手に三池崇史がいて、やつでも地道に仕事積み重ねてきてんだなとちょっと感じるものがあった。
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