森絵都のカラフル。いいお話だし、楽しく読めたのだけど、『悪』に奥行きがないな、と。
話のオチ自体は、小説半ばにして想像できてしまう(他に伏線がないからねえ)のだけど、この小説のキモはそのオチではなく、周りの人間たちの人間としての奥行きや豊かさを通して、主人公が世界に彩りを取り戻すところにあるのはわかります。小学生の課題図書であれば、それでもいいでしょう。でも、世界の彩りには間違いなく悪の色を含めるべきで、それを受け入れても、この世界は捨てたもんじゃないという話にすべきだと思う。それ、が世界でしょう。
いや、十分おもしろかったですよ。物語として。
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09/04
- メディア: 文庫
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