高橋源一郎の文学じゃないかもしれない症候群を読んだ。
なんか広告批評みたいな文章だった。それは多分、批評というものを広告批評と芥川賞選考委員の選考理由くらいしか読んだことが無いから、そう思っただけだろうが。
印象に残ったのは、太宰の親友交歓についての解説というか解釈を述べたもの。それ以外の文章が読んだことのない本について書かれたものだとか、源一郎の文が非常に抽象的な文章だったから、読んだことがある親友交歓についての批評が気になったのだが、内容としても見るべきものがあると思う。
高橋源一郎は言う。太宰治はモラリストであると。物書きは存在そのものから不正義であると。ものを書くということ=自分の正義を押し付けること、であると。「もの書く人太宰は、もの書くことの『正義』という名の不正義を知る数少ない作家である」と。
太宰治という人間の底にあるものに触れている気がする。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 文庫
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