背負い水

 荻野アンナの背負い水を読んだ。
 弾むような軽いテンポ、限りなくしゃべり言葉に近い軽い文体、3人の男との恋愛という軽いストーリー、でも読み終わった後に残るのは、なにか言葉で説明できないけどどす黒いもの。たぶん行き詰った時に読むと絶望感に浸ることになるだろう。
 「真っ赤な嘘というけれど。嘘に色があるならば、薔薇色の嘘をつきたいと思う。」という文章から始まり、自分自身が己の心の弱さに飲み込まれてしまうというのは、なかなかひどい話だ。。。

背負い水 (文春文庫)

背負い水 (文春文庫)