思春期の本場、高校受験前の中学校が舞台。不思議としっくりきてしまったけども、寝坊して置いてかれてお母さんの布団でオナニーしてみたり、レイプ未遂してみたり、自殺してみたり、なかなかにエキセントリックな映画。
文字に起こしてみれば圧倒的に観客から遠い遠い世界の作り話に見えて、面白くなさそうなんだけど、ところがどっこい2時間を観せてしまう。オープニングのプールの揺れる水面。かなり激しい台風。運動し続けて止まらない水が物語の底を流れ続けている。
この映画では受験前の中学生だけど、現代の文脈に照らし合わせると小学生高学年といったところか?大人と子供とのその混じりあった部分に位置する子どもたちをすごく近いものに感じた。観客であるところの僕がそれぞれの人間に自分と近いものを見つけ出す感じ。そういえば昔、土砂降りの中で無意味にサッカーしたなとか、世の中を知った風な口きいてたなとか、クラスに1人くらいバカなふりして注目を集めるやつがいたなとか。でもカメラはそういった目をしていない。執拗に子供たちを追い回す。上から下から見つめ続ける。何かしら事件があるときは手ブレしてでも追いかけ回す。ノスタルジックなものを感じるのはあくまで観客であって、カメラではない。
カメラで被写体を撮るということは、とりもなおさず、それ以外のものを撮らなかった、ということでもあるわけで、作品はその撮られなかったフレームの外側を観客に想像させなければならない。この作品はその点において、激しく確信犯的であり、フレームの外側が豊かだった。
想像力をかきたてられ続けた、このくらいの頃のイヤに物知った風な背伸びしたような言葉と、大人の不完全なるところの子供じみた言葉。
「何様だかわかんねえけどよ。お前の15年後が俺なんだよ。あと15年の命なんだよ。覚悟しとけ。」
「ただいま。お帰り。お帰りなさい。」
「俺たちには、厳粛に生きるための厳粛な死が与えられていない。だから俺が死んでみせてやる。みんなが生きるために。よく見とけ、これが死だ。」
最後のV字開脚はご愛嬌。子供たちの演技がすごい。
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