父親たちの星条旗

 まず、最初に思ったのは、2つあって、これは勝者の良心からのみでき得る映画であるということと、ここ近年まれに見るマッチョ映画だなということで、前者については、これは弱者側からつくると、説教臭くなったり、するから。
 後者については、まず、女が全然出てこないということと(母親たちは記号として女ではなく、母である)、唯一出てくる女があまりにも退屈な女で、大体において男が馬鹿で女が尻をぬぐうような形が多い中で、この女があまりにも否定的に描かれていて、ちょっと目新しかった。こんなに男の映画は見当たらんなと思って。
 長い、退屈とすら言える戦闘シーン(退屈というのは映像がしょぼいからではなく、衝撃的な映像をメリハリなく見せられても感じる)を観ながら、実際の戦闘は、半無限とも思えるくらいに長いのだろうし、恐怖に慣れて麻痺したところで命を持っていかれるのだろうし、スクリーンの前で数十分の映像で飽きるとは、やれやれな平和ボケっぷりだなと、これまた陳腐なことを思ったり、人間が肉の塊になる過程を、一瞬のものもじわじわのものも、ただひたすらに「痛く」映像化されていて、気持ち悪くなる人もいるだろうなとか、スクリーンに目を奪われつつも、色んなことを考えていた。
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