ガタカ

 俺はなんだかんだ言って、善意と努力が何かを成し遂げるっていうべたな物語が好きなんだと思う。そう要約できてしまうような、アメリカ的なSFドラマだけど、この映画結構好き。
 SFものって状況説明が冗長で飽きてしまったりするのだけれど、この10年前の映画は遺伝子による人間の選択という2007年現在でも色褪せない、むしろ、より現実味を増している設定のおかげで興味深く物語に入っていける。
 この映画は基本的に描き足りないし言葉足らずだと思うのだけど、なぜか嫌いになれない。ヴィンセントとユージーンとの友情にも似た関係は表情以外ではあまり描かれないし、ヒヤヒヤするようなシーンではかなりベタベタなモンタージュだし、アイリーンや弟じゃないほうの刑事はあまり人間が描かれないし、振り返ってみると欠陥に満ち溢れているんだけど、観ている最中はヴィンセントに肩入れしてるし、困難がいろいろ降りかかってくるし、ほろっとくるような善意が配置してあって、それどころじゃなかった。個人的に、どうしようもなく欠けている人間が何かを成し遂げる物語に強い執着があるみたい。
 ガタカ(GATTACA)がアミノ酸の組み合わせってのを観た後知って、なるほどと思った。あと、英語音声を聞いていると、どう聞いてもユマ・サーマンのユマが(uma)と発音されていて愛すべきだと思った。

ガタカ [DVD]

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