非情城市

 第二次世界大戦が終わり、台湾が日本でなくなり、二・二八事件が起こって…という時代背景の中で、翻弄される一家とその周辺を描き出した映画。枯嶺街少年殺人事件が抱えている背景と同様の背景を抱えているわけで、全編に渡って悲劇の雰囲気が漂っているのだけれど、港町から少し山間に入ったとこを舞台としていて、そこから港を見下ろしたショットが何回か挿し挟まれるんだけど、それがまた物悲しい。多分次回観たときはまた違うことに気づくんだろうなと思わせる、落ち着いてしっとりとした物語。
 まあ、こんなもんを観た時にこういうニュースがあると、知りもしないパキスタンの市井の人々を思ってしまう。もちろん偽善ですよ。既に腐敗臭すら漂うほどに陳腐な事実だけど、ニュースなんかで報道されるところにはダイナミズム位しかなくて、本当の悲劇やドラマはその陰にあって、映画はそこを掬い取らなければいけないと切に思う。
 ただ思ったこと。トニー・レオンは端整だね。

悲情城市 [DVD]

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