ミレニアム・マンボ

 侯孝賢の「ミレニアム・マンボ」。スー・チーが屋根つきの蛍光灯に照らされた通路を歩く姿を後ろから、スローモーションでカメラが追うという最初のシークエンスが印象深くて、ものすごい映画的だなと酔ってしまって、すごい期待してしまったんだけど、映画全体としてはそんなでもなかった。
 とは言え、観るに耐えないというのとは違っていて、先に書いた冒頭のシークエンスや、夕張ではしゃぐ姿(1回目の方。2回目の方は何かうそ臭いというか、やりすぎというか、1回目が無邪気で美しいのと比べて作為的で長ったらしかった。)、大久保での中央線や総武線が滑るように走っているさま、さっと挙げてもポンポンと出てくるくらい細部は印象深い。でも、その集合としての映画としてなんだかなあという感じ。ガオ・ジェが出てくるだけで画面が緊張するのもすごい。電車はヤンヤンで出てきたばかりだったから思い出してしまった。

ミレニアム・マンボ スペシャル・エディション [DVD]

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