草間さかえのうつつのほとり。4年にわたって季刊誌(?)に描かれたものをまとめたもの。漆原友紀の作品を思い出すような、夢うつつの合間を描いたような。
とある理由で田舎の里に越してきた「敬坊ちゃん」と、寺男で天狗や狐などと呼ばれている「弥七」との交流を軸に描く物語。東京から越してきたゆえに偏見から自由で、この年頃特有の好奇心に充ち満ちた敬と、"なり"が周りの人間と違うために浮き世から隔たって生活しているものの、知恵を持っていて山のことなら何でもわかる弥七は、途端に心を通わせる。2人とも、各々の理由で寂しさを抱いており、花を摘んだり、山の実を食べたりする中で、お互いの心が暖まるのを感じる。山と里とを舞台にした、2人のやりとりを描く。
タイトルから言っても弥七は架空の存在とも解釈できるのかな、と思いながら読み進めるくらい、弥七の世界は敬にしか開かれておらず、敬とのやりとりしか描かれないのだけれど、書き下ろしのお祭りや、最終話のエピソードを見るに、どうも実在であるようだ。
少々ノスタルジーに寄り過ぎな世界ではあるけれども、厳しさと優しさが織り交ぜられた世界を楽しめました。
- 作者: 草間さかえ
- 出版社/メーカー: リブレ出版
- 発売日: 2013/09/10
- メディア: コミック
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