八番筋カウンシル

 津村記久子の八番筋カウンシル。爽快感というほどのものではないが満足感はある。おそらく、津村記久子の捉えている世界の業の深さ感が、私にとって信頼のおける世界観なんだと思う。
 章ごとに、現在(主人公らが30歳前くらい)と子供時代(中学生時代)とを交互に読み進めることになる。そして、主人公たちの心にしこりを残してきた、

  • タケヤスの父の話
  • カヤナの不思議
  • ヨシズミの祖父の謎

についてある種ケジメをつけることになる。
 冒頭にも書いたように、安易で爽快感のある結末は用意されない。でも、それでもこの世界は生きるに値するし、主人公たちも、周りの人間たちも、生活を続けていく。そういう物語。
レディオヘッドのAnyone Can Play Guitarが唐突に小品として出現して不意を突かれた。

八番筋カウンシル (朝日文庫)

八番筋カウンシル (朝日文庫)