遅いインターネット

 宇野常寛著、遅いインターネット。
 文化系トークラジオLifeに出演していた頃に彼の存在を知ったが、それほど印象が良くなく、その後彼の存在をしばらく忘れていた。2015年に知人が高評価を下していることで、J-waveで放送されていた彼がナビゲーターを務めるTHE HANGOUT月曜日を聞くようになり、以降、彼の動きはおおよそキャッチアップしている。つまり、 彼の主宰するPLANETSのメールマガジンを取り始め、ニコニコ生放送ニコニコ動画で放送されるストリーミング/動画を全て見るようになり、いわばファン的なものを続けてきている。
 そんな私なので、この本に書いてある内容は全て読んだことのあるもの聞いたことのあるものであり、目新しい内容はなかった。ただ、彼の主張がまとめ直されているので、読者としても彼の思想について頭の整理をするのに役立った。特に吉本隆明を読み直して現在の世相に対しての処方箋を導き出す件は、この本のみにしかまとまっていないと思われるので、面白く読んだ。
 本書は装丁が青と白で爽やかになされているのだが、文体も、主張も、青い。私はそんな彼をこれからもしばらく支持することになるだろう。