東京の恋人

 笠井爾示写真展を渋谷ヒカリエ8階にて。写真って、もはやプロでもそこそこの光沢紙にインクジェットでプリントアウトして作品にする昨今、プロの撮る写真とはいったい何なのか、考えさせられた。解像度ではない。
www.hikarie8.com

硝子の葦

 WOWOWのドラマ、三島有紀子監督、プライムビデオで。全4話。
 1話目、辛かった。誰にも感情移入できない。世界が釧璃(釧路のもじり)に閉じている。グロい。本当に2話目を観るべきか迷った。半分以上惰性で2話目を観た。素晴らしかった。
 相武紗季演じる主人公、節子が、初めて笑った。世界の景色が明るくなった。閉じた世界が、人間の内側に開いていった。普遍性を持つ物語に転化されていった。

 正直プロットを思い出してみると、2時間不要で90分でまとめられる内容のように思う。それを4時間たっぷり使って風景の描写を差し挟みながら描き出した。でも、それだけの価値はあったように思う。
 1話目は恋の渦の冒頭30分並みに辛いのだけど、2話目以降花開くので、ぜひぜひ観てみるべきと思う。ググってみても全然、批評・レビューの類がない。正直観られていないドラマなのだろう。でも、三島有紀子渾身の一作なんじゃないかと思う。
 
 3話目、部屋の家具の位置が変わっていることに気づいたあなた、鋭いです。それくらい鋭い人には、4話目の描写はくどいですね。説明過剰に感じると思います。私は、ラストから2番目のシークエンスは、タバコの持ち方だけで説明するのが乙だと思います。ピアスは過剰。

の・ようなもの

 森田芳光監督、の・ようなもの。プライムビデオで。
 二ツ目の志ん魚がソープ(81年の作品なのでトルコ風呂)行って姫と仲良くなったり、高校に落語講師として関わるうちに女子高生とつき合ったり、そのくせ噺がおもしろくなくて行き詰まりを感じたり、そんな姿を描き出す。まあ、プロットが特におもしろくないので、そこの点では見る価値はないだろう。
 この映画の現代における価値は、間違いなく、80年代当初の風俗(性風俗だけでなく)が切り取られ、映し出されていること。主に男性文化のみですが。

の・ようなもの [DVD]

の・ようなもの [DVD]

レアンドロ・エルリッヒ展

 森美術館。これは、、、おもしろくなかった。
 もともと「なるほど」の種明かしな作家で、即物的なことを批判してもしょうがないんだけど、それにしても思想的な深みが薄すぎませんかという印象を持った。個展の割に作品数が少ないせいかもしれませんが。(まあ展示が場所を取る作家なのでしょうがないとも言えるんでしょう)
 現代アートの入り口にはいいのかもしれないけれども、「インスタ映えするでしょうね」以上の感想が浮かんでこない。そんな展示。
f:id:creep_in_jp:20171124170807j:plain
www.mori.art.museum

装飾は流転する

 東京都庭園美術館で。装飾とは?という問いに作品でもって答える企画。これはなかなかにフェティッシュで興味深かった。
 ヴィム・デルヴォワのSUS板をレーザーで鋭角に繊細に切り抜いたものを組み立てた一連の作品群に特に興味を持った。特にトレーラーはタイヤが回転するように製作されていたので、動くところを見たかったというのが正直なところ。
f:id:creep_in_jp:20171124150520j:plain
f:id:creep_in_jp:20171124150953j:plain
f:id:creep_in_jp:20171124151113j:plain
 また、高田安規子・政子による作品で、樹脂吸盤の彫刻やトラップに刺繍を施した作品もきわめてフェティッシュで心をくすぐられた。
f:id:creep_in_jp:20171124151506j:plain
f:id:creep_in_jp:20171124151727j:plain
f:id:creep_in_jp:20171124153623j:plain
f:id:creep_in_jp:20171124153754j:plain
www.teien-art-museum.ne.jp

フリンジマン

 Amazonプライムビデオで。
 板尾創路がはまり役。表情一つ変えずに、愛人教授と書いてラマンプロフェッサーと読むクズ井伏を的確に演じている。(原作は未読)
 既婚セックスレスの田斉、野球バカの満島、女性不信の坂口。この3人が愛人をつくるために格闘する様を描く。8話までで対象になるのは、田斉の同僚山口詠美(筧美和子)、満島の行きつけキャバクラのキャバ嬢江口カオリ(岸明日香)、満島が飲み会で知り合った川上ミエ(佐津川愛美)。2人は明確におっぱい要員として、深夜ドラマ感をしっかりと出してくる。
 1話が30分で見やすいし、嫌いじゃないよ、この感じ。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

 岩井俊二の若かりし頃の映像をプライムビデオにて。
 確かに、小学生の世界をよく捉えられているし、よく伝わってきた。低い視点の映像、限られた舞台、限られた想像力や閉じた世界観。“東京”とか“大阪”は確かに線路の先にあるはずなのだけど、どこか現実感のない空虚な言葉として表現されている。
 年老いた大人たちの、記憶の片隅をくすぐりまくる。
 でもコレが、オールタイムベストだっていうのは、幼稚なのではと感じます。太宰がオールタイムベストっていう人と同じカテゴリーかな。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

日本をゆっくり走ってみたよ

 前田司郎が脚本を書いているらしい、日本をゆっくり走ってみたよ。プライムビデオで。
 濱田岳演じる主人公が、しょうもない理由から(というか大した理由もなく)バイクで日本を一周するというお話。まあ、内容自体はつまらないし、実際2話観るのがせいいっぱいで、観るのやめてしまいました。
 ドローン使うと、昔はでっかいクレーン使わなければ撮ることができなかった映像が簡単に撮れるんだなという感想を持ちました。

ミニドローンHS170C

 おうちのお部屋で飛ばしています。私は異様に楽しいんですが、そのうち隣人にうるさいと怒られそう。まだまだうまく飛ばせないので壁や天井によく当たるし、何よりプロペラの騒音が結構うるさい。
 レビューにいろいろ書いてあったので、とりあえずプロペラと予備バッテリーは予め買っておいたのだけど、遊び1日目で確かにプロペラ1枚失いました。自室なのに。バッテリについては自室で隣の部屋に気を遣いながらやっている分には無くてもできないことはない。が、遊び1日目でバッテリ2つ空になるくらいは遊びました。

Nのために

 Nのために。プライムビデオで。素晴らしかった。
 10話のうち、2話が青景島、残り8話が東京を舞台としており、8話のうち3話がN作戦、残り5話がN作戦2に割かれる。

  • さざなみに火をつけたのは誰か?
  • 野口夫妻を殺めたのは誰か?

この2つの謎を駆動力として、時に高野の力を借りながら物語は進む。9話・10話で明かされるのだけど、それが論理破綻しない形で詳らかにされるので、安心して観ることができる。
 正直に書けば、前半(3、4話くらいまで)はダルい。ある種、物語としてはありきたりな、どこかで観たようなストーリーが展開されるからだ。ただし、前半で登場人物が皆出揃う中で、彼ら(特にNたち)の人物造型を細かなエピソードの積み重ねにより、過度に説明的になることを避けつつ行ってきたことが、後半のN作戦2で非常に生きてくる。登場人物の彼らが皆、基本的に善人であり(一部例外あり)、信頼に足る人間であることを観客として信じることができるので、N作戦2における一挙手一投足に感情移入し、目が離せなくなった。どうして彼らが「そういう」言葉を放ち、「そういう」行動を取るのか、過剰でなく説明されていて納得感が大きかった。

  • 榮倉奈々演じる希美の、(両親と同じ血が流れていることからくる)原罪にも似た自罰的な性格
  • 窪田正孝演じる成瀬の、極めて表情を抑制した演技
  • 賀来賢人演じる安藤望の、成瀬と対照的なイケメン感

ここらへんのコントラストが、効いていたように思う。
 脚本が、過剰な説明(露骨な説明のためのシークエンス)なく、破綻なく仕上げていて、素晴らしかった。伏線の回収も忘れておらず(観客としては忘れていたのだけど)、良かった。お前もNだったな!みたいな。
 若干あざといと言われてもしょうがないと思うが、構図の切り取り方や、彩度を調整した画もなかなかよかったと思う。
 これはおすすめ。2010年代の冬彦さんもイメージしたんだろうな。

Nのために DVD-BOX

Nのために DVD-BOX