MIHO MUSEUM

 茶杓を軸に据えた企画展と、エジプト・ギリシャ西アジアから中国までを視野に入れた古代美術品のコレクション展。茶杓の方は、その人の興味次第だろうけど、古代美術品はすごい。古代エジプト古代ギリシャペルシャ帝国時代の宝飾品やら美術品やらが割と数多く展示されている。どうやって入手したのというレベル。
 パトロンとして独裁的な宗教が最強なんだろうか。国家についても、結局独裁的な国家が勝利するのだろうか。
百(もも)の手すさび-近代の茶杓と数寄者往来- – MIHO MUSEUM
永遠の至福を求めて – MIHO MUSEUM

新素材研究所・ -新素材×旧素材-

 建築倉庫ミュージアムにて杉本博司の新素材研究所についての企画展。併せて海外で活動する日本人建築家にフォーカスした企画展も。
 モノからコトと言われて久しいが、物語を含んでいるモノの力は衰えていない。天平年間の木材の存在感とそれが置かれてきた場所の歴史、退色しにくくかつ風化しにくい彩りについての試行錯誤の物語、石材が得られるに至る地球物理学・地質学的な物語、そういった物語の説得力がモノ無しに強まりうるだろうか。
 物語を読み解く力と、それを汎用性あることばに言語化する力、そしてあまねく伝える力が求められているのだろう。
bijutsutecho.com
www.axismag.jp

名和晃平Biomatrix

 SCAI THE BATHHOUSE名和晃平の個展。

 私にとって、名和晃平の作品はテクスチャ。今回はベルベット・細かい鉱物・粘調シリコーンオイルのテクスチャ。シリコーンオイルは動的であって、例えば鴨川のほとりに佇み流れを眺めているように、シリコーンオイルのコポコポというリズミカルな動きは見飽きないものであった。

SCAI THE BATHHOUSE | Exhibitions | 現在の企画展 | 名和晃平 Biomatrix

GIRLS

 レナ・ダナムが全身全霊で創った(だろう)GIRLS。プライムビデオにて。エピソード10話ずつのシーズンを6まで観ました。
 よかったよ。登場人物が大体サイコなので、少なくとも初めの方のシーズンでは、誰にも感情移入をすることはない。対岸の火事を眺める感じであったり、物見遊山的な感じであったり、いずれにせよ神の視点から目の前の現実に奮闘する登場人物たちを眺める。大学時代が終わり自分で稼ぐタイミングに差し掛かり、人生の大きな岐路に立つ彼女たちの、主にNYでのセックスライフを全く省かない形での生活が描き出される。ハンナとジェッサは日常的に肉体をスクリーンに晒し、口を開けば日常的にf**kやらvaginaやら叫んでいるので、日本人からするとなかなかに非日常体験ができる。
 作家が女性で、タイトルがGIRLSで、主役が4人のgirlsなので、当然女性による女性のための女性の話である。アダムだかイライジャだかレイだかデジだか、彼らはあくまでも脇役なのである。観客は、彼女たちがかなりゆっくりだが(多少は)mature womenに成長するのを眺めるのである(シーズン6最終話の少女とのエピソードはそういうことだろう)。選択や決断は彼女たち自身によってなされなければならない。男どもが決めたことに女性たちが従う時代ではないのだ。たとえ間違ったとしても、洗濯や決断は彼女たちがすべき、それが貫かれている作品のなんと少ないことか。

 後は雑感
 シーズン5には日本ロケが複数回あるのだけど、女性作家でならでは、初めて自然に女風呂が舞台となるドラマを観たように思う。
 シーズン6のエピソード9がハイライトで、ジェッサとハンナが分かり合えて本当によかった。途中、ハンナ母が、男を奪った同級生が早死にするというフラグを立てていたので、裏切ってくれて本当に良かった。
 脚本はというか作中起こる事件は、シーズン1からシーズン6までずっとハチャメチャなのだけど、演出はシーズンが進むにつれて明らかに巧みになっていて、シーズン6エピソード8のダイナーでのハンナとアダムのシークエンス、セリフなしでお別れするあのシークエンスは今思い出しても、グッとくる素晴らしい出来。

蓮沼執太フィル『アントロポセン -Extinguishers 愛知全方位型』

 蓮沼執太フィル『アントロポセン -Extinguishers 愛知全方位型』
 ライブにはエラーが付きものである。したがって、音そのものとしては、CDの方が優れているだろう。そう考えていた。ライブを体感しても、その考えは変わらなかった。
 しかし、帰りの車中、CD音源を聞き直して、考えを改めた。あのライブには、この音源に存在しないものがちゃんと表現されていた、と。弦楽器・金管楽器・ドラムス・マリンバ・スチールパン、各々が各々のそしてある調和を持ったリズムで旋律を刻む。これはライブでないと感じられないものだった。
 おそらく、フルートを除いてソロパートがあり(スチールパンもなかったかな)、16人それぞれに見せ場があったので、それぞれに個性のある楽器の音そのものを楽しむこともできた。(サックスだけひどい音で、マイクが悪かったのか大谷さんが悪かったのか・・・)
 中でも印象に残ったのは以下2点。
 蓮沼フィルとK-Taさんが、私にマリンバを聞くことのの楽しさと可能性の深さとを教えてくれた。
 石塚周太さんの玄人感に惚れた。

 しかし、何と言っても、この16人を拘束しているんだからね。なんて贅沢な空間だったんだ!
www.hasunumaphil.com

サバイバルファミリー

 矢口史靖監督のサバイバルファミリー。netflixにて。シリアスから破綻していくコメディとして見た。
 いろいろと人物描写が紋切り型なのは気になりつつも、冒頭から相応のリアリティを持って描写してくるし、何と言ってもロケ撮影の贅沢感に浸りながら、楽しんで観ていた。ところが、父が死ぬ的なシーンから破綻が個人的にもう取り返せないレベルに到達して、後は悲しいシーンでも、痛いシーンでも、怖いシーンでも、全部笑ってしもうた。
 私も大人なので、サバイバル数週間もしていてなんで痩せないのかなんて愚問はしません。大人の事情として理解します。ただ、なんで上述の父が死ぬ的な件から急に演出が雑になるのかということは問いたい。フックとしてのツッコミどころだとは思うのですが。 

  • どこの川という設定なのかとか
  • なんでスポークにとんがらせた口を突っ込んで溺れていくのかとか
  • 父の不在を示す遺品がズラなのかとか
  • SLが急停止してみたりとか
  • 「停まってぇ!!!」の一言でSLが停車してみたりとか

もう、ギャグじゃん。
 ただ、葵わかなが豚食って泣くシーン、あれは最高だった。

中谷ミチコ特別展示(敬老会特別展2018)

 私立大室美術館にて。彼女の祖父の民芸品と、彼女の作品と。
 初めて彼女の作品を観た。これは、写真では、伝わらないだろう。型を用いてつくった石膏の窪みに、場合により薄く着色した樹脂を流し込み硬化させたもので、窪みの深さ=樹脂の厚みが目に届く色味になる。会場の照明によるが、作品の樹脂表面で反射した光を、カメラの素子は受光してしまうので、写真で作品そのものを捉えにくい。
 川の流れる水は観ていて飽きず長らく見続けていることができるわけだけど、この無限のグラデーションの黒い鳥たちも同じように長らく見続けていられる。女の子と鳥との境目はまだ試行錯誤の様子が見られるが、これもいつか克服されるのだろう。
 単なる思い付きだけど、石膏部分も含めて樹脂をのせて、サンドブラストとかうまく研磨すると、部屋の照明に左右されない作品になったりしないのかなとか。
敬老会特別展2018 — atelier ichiku
 これを過去に読んでいたことを思い出した。
www.cinra.net

 分館も観せてもらった。橋本雅也の鳥の彫刻。ジェームズ・タレルの作品のような分館の薄暗がりに展示される小鳥。
私立大室美術館分館 開館記念特別展 — atelier ichiku

マイマイ新子と千年の魔法

 片渕須直監督のマイマイ新子と千年の魔法。プライムビデオにて。

 私は基本的に、アニメーションよりも実写映画を好んできた。それは、アニメーションでしか表現できないものなんていまどきあるだろうかと疑問を持っているからだった。しかしながら、この映画を観て、その自分の認識が誤りであることを認めることとなった。

 2つの時制を行き来しながら2組の女の子同士の交流を描く。時に時制が夢という形で交わる。観客の視点は空から、水の中から、動く動く。カメラで撮影するのでは気の遠くなってしまいそうなアクロバティックな動きも、アニメーションでなら描くことができる。

 ただ、解説を聞きたい。これは私が初見で受け取ったよりも多くの情報が練り込まれているはずだ。

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

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藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用

 TOTOショールーム併設ギャラリー間にて藤村龍至の個展。

 圧倒的な物量の習作たる模型が展示され、同時に定点観測的に撮影され連続写真的に編集された映像も展示されていて、設計の変遷がよく見える。また上のフロアでは習作を経て造られた実際の建築物の映像が流されている。

 会場に文章で示されている藤村龍至の思想的な面が反映されている一方、なぜその選択をしたのか?はわからない。勉強またはセンスが必要と言うことか。その点、あいちトリエンナーレ2013で試された多数決で決めるという選択はわかりやすい。ただ、素人たちのNot worstが最善の選択ではないので、、、

jp.toto.com

もらとりあむタマ子

 山下敦弘監督のもらとりあむタマ子。プライムビデオにて。
 まあ、基本的には大きな主題は感じない、オフビートなぬるいお話しなので、積極的に観る必要性は感じない。一方で、前田敦子の女優としての才能はもっと評価されてもいいんじゃないかなと。
 主題歌星野源なのね。