神の子どもたちはみな踊る

 もう何度目かわからないけど、村上くんの神の子どもたちはみな踊るを読んだ。この本に収められている6つの短編には共通して、死の匂いと孤独の影を感じる。でも、そこにあるのは諦めではなくて、受け入れた何か、勇気とか希望とか、そういうきらびやかなものではないけれども、揺るがない何か、だ。そして、僕はそれに親しみを感じる。この作家は自分でも長編小説家だと公言しているし、評論家たちの評価としても、長編の方がよいような感じだが、僕は、この短編集が最高傑作だと思っている。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)