お引越し

 相米の代表作らしい。題はどこかで耳にしたことがあるけど、初めて観た。
 この映画の当時の90年代初めでは、今よりもずっと両親の離婚というのはレアで、小学生の子供にとっては受け止めがたいことだっただろうし、残酷な周りの同級生の格好の餌だっただろうな、と思いながら観ていた。反抗を見たり、血を見たりしながらも、どこか懐かしさを感じるような展開で中盤までやってきて、ああ、こんな感じでオチをつけて終わるのかなと思っていたのだが、そうはいかなかった。
 映画の中に祭りが組み込まれているんだけども、これがすごい印象に残った。祭りというのはハレとケの「ハレ」であって、圧倒的な非日常で、その場で死ぬことすら厭わないような、むしろその場で死ぬことは光栄なことのような、そういう舞台であるはずで、そのような熱気と人々の気合と神秘性を観ながら、そしてそこに迷い込んでいくレンコ(田畑智子)を観ながら、普通じゃない特別な世界を感じた。家族を描いたドラマという捉え方をしながら途中まで観ていたので、ちょっとびっくりしたし圧倒されたし、なんかちょっとこの映画好きだなと思った。
 あと京都ってやはり映画に映える街だなと思いました。

お引越し デラックス版 [DVD]

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