コントラクト・キラー

 アキ・カウリスマキのコントラクト・キラー。アメリカの夜にアルフォンス役で出演していたジャン=ピエール・レオが主人公でちょっと縁を感じたのだけど、アメリカの夜で演じたわがまま若手俳優と、この映画で演じたリストラされた冴えない元水道局員とのギャップが激しすぎて、演技の幅に尊敬というよりもおもしろの方向に捉えてしまった。
 この映画は恐ろしくセリフが少ない(ツァイ・ミンリャンと同じくらい)のだけれど、時系列そのままに映像を並べていくことで物語を観客に立ち上がらせるという、モンタージュだけで構成されたと言ってもいいくらいの映画で、その乾いた感じが楽しめた。山下敦弘を日本のカウリスマキと呼んでいるような記述をたまーに見るけど、その乾いた感じというのは山下敦弘の映画では観たことがなくて、それはフィンランドと日本の気候の違いのようなものかなと思った。まあ、カウリスマキはこれとマッチ工場の少女しか観たことないけど。
 個人的なものなのかもしれないけれども、なんか子供のころに観た外国映画ってこんな感じだったんじゃないかなと思った。なぜだろう?フィルムの粗さ?シーンが切り替わる毎に差し挟まれるコンマ数秒の暗転?寡黙な外人たち?まあ個人的な感想以外の何物でもないが。淡々と映像が連なっているので、海外の洒落たCMの様でもあった。

コントラクト・キラー【字幕版】 [VHS]

コントラクト・キラー【字幕版】 [VHS]