川上弘美のニシノユキヒコの恋と冒険を、映画を観た後で再読。やはり各々に別個の魅力というか、タイトルが同じ別個の作品なんだなと再認識。個人的には小説の方が好き。
井口奈己の映画を観た後で読んでみても、ニシノユキヒコには血肉やにおいを感じられない、況んや竹野内豊を思い浮かべながら読むことはできなかった。
この川上弘美の描くやわらかな人物像は映画でそのままつくるのは可能なのか不明なくらい難しいだろうし、そのことそのものに意味があるのかすらわからない。井口奈己は彼女の考えるニシノユキヒコ像を新たに創り上げて、映像にしている。夏美やみなみとのやりとりは、白いコットンの衣服を身につけて、ふわりとはしているのだけど、それはやはり血肉のある人間のそれだった。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: 文庫
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んー井口奈己にしては長回し感を感じなかったなーと振り返りつつ、その坂をのらりくらり、ちんたらちんたら上っていく姿を今でも思い浮かべられるということは、そのシークエンスが私の脳裏に刻まれた何よりの証拠なのかもとも思うのでした。