ここは退屈迎えに来て

 山内マリコのここは退屈迎えに来て。これは実に"くる"短編集だった。
 浅野いにおの「ひかりのまち」を思い出しながら読んだのだけど、ある地方都市(たぶん富山なんだろうけど)での主人公を違えた群像短編集で、地方であるが故の鬱屈のようなものが描かれる。
 全編を通してセンチメントで構成されているので、小説として”いい”のか”悪い”のかを判断するとすれば、悪いだろう。私のセンチメントをくすぐり、満たすけども、それはかなりピンポイントな人にしか当てはまらないはずで、その他大勢の人に取っては「キモチワルイ」のではないだろうか?
 とはいえ、大変おもしろく読んだ。人間が描かれていて、それは私の知らない人々で、それぞれに生きてきて、これからも生きていく。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て