グミ・チョコレート・パイン パイン編

 大槻ケンヂグミ・チョコレート・パイン完結編。んーなんかなあという感想。
 この類の青春ものというか童貞ものというか、とにかくそのジャンルとして私が勝手に認知しているものとして、村上龍の69、原田宗典の十七歳だった!、そして大槻ケンヂグミ・チョコレート・パイン、があるのだけど、このグミチョコは他の2つに比して、圧倒的に若いことに対する眼差しが悲観的で、その点でもってものすごい共感が持てた。つまり、小説家たちが美化しがちな過去について、それを回避することに成功している。記憶は美しくなっていってしまうものだと思うのだけど(子供のころはよかったとか、昭和はよかったとか言う人が多い。んなわけねえだろと私は思うが)、大槻ケンヂは苦しみが深かったのか、それとも意識的に美化を丹念に避けたのかわからないけど、どす黒いものが漂っている。漠然とした今後への不安であるとか、物語の現在で置かれている環境に対する不満とそれに抗うことのできない自分の無力さであるとか、そういうものが書かれている。そういうところでグミ・チョコレート・パインは結構気に入ってて、なかなか書かれない完結編であるパイン編がずっと気になっていた。単行本が出版されたのは知っていたのだけど、ぐずぐずしている間に文庫まで出ていて、それを読んだわけです。
 で、感想はんーなんかなあというものだった。それはチョコ編から間が開きすぎて何か勢いのようなものが途切れてしまって、文章自体がイマイチになったのか、それとも私がこういうものを楽しめる精神状態になかったのか、それはわからないのだけど、3巻にまとめるのが難しいくらい大槻ケンヂの想いが強いのは、多分そうで、消化不良な感がある。

グミ・チョコレート・パイン パイン編 (角川文庫)

グミ・チョコレート・パイン パイン編 (角川文庫)