GIRLS

 レナ・ダナムが全身全霊で創った(だろう)GIRLS。プライムビデオにて。エピソード10話ずつのシーズンを6まで観ました。
 よかったよ。登場人物が大体サイコなので、少なくとも初めの方のシーズンでは、誰にも感情移入をすることはない。対岸の火事を眺める感じであったり、物見遊山的な感じであったり、いずれにせよ神の視点から目の前の現実に奮闘する登場人物たちを眺める。大学時代が終わり自分で稼ぐタイミングに差し掛かり、人生の大きな岐路に立つ彼女たちの、主にNYでのセックスライフを全く省かない形での生活が描き出される。ハンナとジェッサは日常的に肉体をスクリーンに晒し、口を開けば日常的にf**kやらvaginaやら叫んでいるので、日本人からするとなかなかに非日常体験ができる。
 作家が女性で、タイトルがGIRLSで、主役が4人のgirlsなので、当然女性による女性のための女性の話である。アダムだかイライジャだかレイだかデジだか、彼らはあくまでも脇役なのである。観客は、彼女たちがかなりゆっくりだが(多少は)mature womenに成長するのを眺めるのである(シーズン6最終話の少女とのエピソードはそういうことだろう)。選択や決断は彼女たち自身によってなされなければならない。男どもが決めたことに女性たちが従う時代ではないのだ。たとえ間違ったとしても、洗濯や決断は彼女たちがすべき、それが貫かれている作品のなんと少ないことか。

 後は雑感
 シーズン5には日本ロケが複数回あるのだけど、女性作家でならでは、初めて自然に女風呂が舞台となるドラマを観たように思う。
 シーズン6のエピソード9がハイライトで、ジェッサとハンナが分かり合えて本当によかった。途中、ハンナ母が、男を奪った同級生が早死にするというフラグを立てていたので、裏切ってくれて本当に良かった。
 脚本はというか作中起こる事件は、シーズン1からシーズン6までずっとハチャメチャなのだけど、演出はシーズンが進むにつれて明らかに巧みになっていて、シーズン6エピソード8のダイナーでのハンナとアダムのシークエンス、セリフなしでお別れするあのシークエンスは今思い出しても、グッとくる素晴らしい出来。