小説

しろいろの街の、その骨の体温の

村田沙耶香の“しろいろの街の、その骨の体温の”。 女子中学生が、言葉と、そして言葉で表現しきれないものと、を知る話。 解説で西加奈子が書いているように、作家の言葉や世界に対する誠実さが滲み出ている。 しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫) 作…

永い言い訳

西川美和の永い言い訳。西川美和ってこんなに巧みに書くんだったっけ。 夏子とゆき、年に一度の女2人旅行。乗った夜行バスが事故に遭い2人とも亡くなってしまう。夏子とその夫津村との関係を、ゆきの家族をはじめ沢山の人間の言葉から多層的に描き出したよう…

キャプテンサンダーボルト

阿部和重と伊坂幸太郎のキャプテンサンダーボルト。広げた物語を閉じていくことの難しさを強く感じた。 神町大好き阿部和重と仙台大好き伊坂幸太郎とが、中間点たる蔵王は御釜を物語上の重要舞台として共作した小説。上記の時点で軽い小ネタ感漂う通り、軽や…

パノララ

柴崎友香のパノララ。これまでの柴崎友香の小説から大きく離れた内容だったので、驚いた。 パノララ作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る

女のいない男たち

村上春樹の女のいない男たち。 最後に掲載されている表題作はあまりに抽象的すぎて楽しめなかったが、その他の5作は楽しめました。女のいない男たち作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/04/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (91件) …

きょうのできごと、十年後

柴崎友香の「きょうのできごと、十年後」 タイトルそのまま、きょうのできごとの登場人物(と初登場の若者1人)の10年後の9/21の群像劇。それぞれ、10年前になんとはなしに考えていた10年後とは違う日々を送っている。そのことを、久しぶりの再開によって、そ…

八番筋カウンシル

津村記久子の八番筋カウンシル。爽快感というほどのものではないが満足感はある。おそらく、津村記久子の捉えている世界の業の深さ感が、私にとって信頼のおける世界観なんだと思う。 章ごとに、現在(主人公らが30歳前くらい)と子供時代(中学生時代)とを交互…

春の庭

柴崎友香の春の庭。文學界で。 土地や建物にまつわるお話仕立てになっていて、カンバセイション・ピースを思い浮かべながら読んだ。柴崎友香って急速に「書けること」が増えていっているように思える。 十二支ネタがしつこくて、「立つ鳥跡を濁さず」にも過…

星よりひそかに

柴崎友香の星よりひそかに。 7つの短編がまとめられた短編集。1度読み始めて、まあこんなもんか的な、そんなに熱中することもなく、だらりと読んでいたのだけど、偽日記の2014-05-20 - 偽日記@はてなに書かれている通り、関係性の小説なんだと理解してから再…

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹の色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年を思いの外、面白く読んだ。 そして、cakesのべんとさんの村上春樹の読み方・特別編『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』前編|新しい「古典」を読む|finalvent|cakes(ケイクス)から3つも面…

ニシノユキヒコの恋と冒険

川上弘美のニシノユキヒコの恋と冒険を、映画を観た後で再読。やはり各々に別個の魅力というか、タイトルが同じ別個の作品なんだなと再認識。個人的には小説の方が好き。 井口奈己の映画を観た後で読んでみても、ニシノユキヒコには血肉やにおいを感じられな…

アズミ・ハルコは行方不明

山内マリコの「アズミ・ハルコは行方不明」。んーいまいちかな。 凡庸な地方都市に生まれ育ったその不幸と生活を、あっけらかんと描く。意図的に凡庸でぽしゃっていくクライマックスを踏まえて、彼らは皆つまらなくも、受け入れられる日常に戻っていく。その…

イッツ・オンリー・トーク

絲山秋子のイッツ・オンリー・トーク。文春文庫で。 表題作と、第七障害という馬術に由来するタイトルの短編の2作が含まれる。 イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/05メディア: 文庫購入: 3人 クリッ…

ニシノユキヒコの恋と冒険

川上弘美のニシノユキヒコの恋と冒険。 10の短編のうちの10番目を読んでいる途中で、村上春樹の小説に出てきそうな登場人物だなと、遅ればせながらニシノユキヒコについて思った。そんな感じ。 時系列については、いくつか入れ替えられているものの、ニシノ…

ここは退屈迎えに来て

山内マリコのここは退屈迎えに来て。これは実に"くる"短編集だった。 浅野いにおの「ひかりのまち」を思い出しながら読んだのだけど、ある地方都市(たぶん富山なんだろうけど)での主人公を違えた群像短編集で、地方であるが故の鬱屈のようなものが描かれる。…

空飛ぶタイヤ

池井戸潤の空飛ぶタイヤ。講談社文庫で。 巻末に なお、本書はフィクションであり、実在の場所・団体・個人等とは一切関係ありません。 とよく書いたなと思わせるほど、“ホープ=三菱”で、三菱自動車や三菱重工や東京三菱銀行(当時)や三菱商事を頭に思い浮か…

ワーカーズ・ダイジェスト

私にとって柴崎友香と共に、特別な作家なのかもしれない。想像力というものを信じているので、他の作家を否定するものではないのだけど、やはり普通のお勤めをしていた・していることをポジティブにそして全面に表現できる作家って希有ではないかと思う。 ワ…

きのうの神さま

西川美和つながりできのうの神さま。おもしろく読んだ。少なくとも夢売るふたりよりもおもしろく感じた。 田舎の村であるとか、そこで働く診療所の医者であるとか、救急医療関係者とか、「村」「医療」をキーワードにする5編の短編が収められた本。 どこがど…

カラフル

森絵都のカラフル。いいお話だし、楽しく読めたのだけど、『悪』に奥行きがないな、と。 話のオチ自体は、小説半ばにして想像できてしまう(他に伏線がないからねえ)のだけど、この小説のキモはそのオチではなく、周りの人間たちの人間としての奥行きや豊かさ…

君は永遠にそいつらより若い

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)作者: 津村記久子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/05/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 47回この商品を含むブログ (48件) を見る

なみゅぎまの日

柴崎友香の新作読みたさにアプリまで入れて、デジタル野性時代を購入。 受験な年頃の女の子と話で、ああ柴崎友香だなと思わされるのだけど、ちょっと物足りないかな。

わたしがいなかった街で

新潮4月号に掲載されている柴崎友香の新作がなかなか読み終わりません。が、すごく興味深くて新しさを感じます。彼女も過去の自分を超えよう超えようとしてることが、よく感じられる。 新潮 2012年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/03/07…

1Q84

まさかここまで収斂されちゃうとは思いませんでした。ロマンチスト過ぎねえか?ストーリーちゃんとあるから読んじゃうけど。ブサイクさんはがんばって弁護士なっても不遇に死んじゃうね。 1Q84 BOOK 2作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05/…

1Q84

長らく小説という作法から離れていると、これ見よがしに提示されている伏線を見逃して、伏線が詳らかにされたときに驚いて前の方を読み直したりすることがわかった。 1Q84 BOOK 1作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購…

寝ても覚めても

柴崎友香の寝ても覚めてもを文藝2010年夏号で。 衝撃でした。読了後に思い返してみれば、確かに違和感を持ちつつ読み進めていったのだけど、、、柴崎友香を見くびっていたかもしれない。 ともかくも衝撃でした。単行本じゃなく、わざわざ文藝を買ってまでい…

ドリーマーズ

柴崎友香のドリーマーズ。まあ、いまいちかな。 柴崎友香の興味の方向が僕と違ってきたというだけで、その興味の方向は何と聞かれてもうまく答えられないけどね。 ドリーマーズ作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/08/21メディア: 単行本 ク…

東京タワー

もうそろそろいいかなと思ってブクオフでワンコインで買ってみた。泣けた。 この小説は小説としてのできはひどいものだと思う。それは1人称で書いておいて、さらに遠慮なく主観モロだしの文章が400ページ超もひたすらに綴られているのだから。医者というもの…

肝心の子供

磯崎憲一郎の肝心の子供を読んでみた。 字がでかいし、ページの余白も広いし、河出やり過ぎじゃねえかと思った。紙はよかったけど。 肝心の子供作者: 磯崎憲一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/11/16メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 48回こ…

悼む人

天童荒太の悼む人。久しぶりに小説読みたくてぱっと買って読んでみたけど、450pそれなりに面白く読めた。 故人と自分との関係によらず、死因によらず、生前での善悪によらず、日本中の人が死んだ現場を訪れ「悼む」主人公静人の姿とその周辺を、週刊誌記者、…

サマーバケーションEP

古川日出男のサマーバケーションEP。非常によかった。心震えた。 私もご多分に洩れず、Lifeの2007年文化系大忘年会の回で激しく薦められていたので、購入した。最近は小説読みなれてないので読了に1ヶ月かかったが、よかった。読み始めた頃から、いい小説だ…

星のしるし

柴崎友香の星のしるし。わざわざ文學界買ってしまった。 とりあえず、読んでいて2、3ページくらいで気づくのだけど、いままでの柴崎友香と違うタッチに驚かされた。いままでの彼女の作品にはもっと宙ぶらりんのぬるい温度の人間に満ち溢れていたと思うのだけ…

対岸の彼女

角田光代の対岸の彼女。こんなに青臭いのが直木賞かよと突っ込み待ちな本。 とは言え、青臭いの嫌いじゃないのでさっくり読めた。惜しむらくは、2回に分けて読んでしまったことで、読了してから思うに一気に読んでしまった方が、気持ちの盛り上がりの面でお…

窓の灯

青山七恵の窓の灯。ちょいと前の文芸賞受賞作で後で芥川賞もらってるし面白いかなと思って読んでみた。 劣化した川上弘美?エロを捨て切れなかった川上弘美?とそんな感想。いや、もちろんすばらしい小説なんでしょうけど、僕は別にというだけです。 窓の灯 …

となり町戦争

三崎亜記のとなり町戦争。硬い乾いた感じの文章で、なんか個人的に久しぶりな文体だったので目新しかった。 実体が見えてこない戦争の始まりから終わりまでを、圧倒的に外側から、注意深く間接的に描いてあって、つかみどころがない、けど確実に存在している…

また会う日まで

柴崎友香のまた会う日まで。今はもうどうにもこうにも、柴崎友香の小説は読まずにはいられない。 こう書くと語弊があるのだけど、柴崎友香の小説世界では、まず「何も起こらない」。というのは、もちろん小説なわけで主人公の周辺で起こったことについて書か…

人のセックスを笑うな

山崎ナオコーラの人のセックスを笑うな。井口奈己が監督で映画ができたのをきっかけにして読んでみた。映画は観るかどうかわかんないけど、とりあえず井口奈己にはでかくなってほしい。 最近の本の傾向だけど、この河出書房の文庫本はあんまりにも文字でかい…

グミ・チョコレート・パイン パイン編

大槻ケンヂのグミ・チョコレート・パイン完結編。んーなんかなあという感想。 この類の青春ものというか童貞ものというか、とにかくそのジャンルとして私が勝手に認知しているものとして、村上龍の69、原田宗典の十七歳だった!、そして大槻ケンヂのグミ・チ…

太陽の塔

森見登美彦の太陽の塔。しばらく小説を読んでなくて、小説を読み始めることに億劫になっていたのだが、リハビリに最適だった。つまり、読みやすく、重みはない。 誇大妄想によって成立している小説なので、こういうのがしっくりくる人って、一生もてない気が…

夜は短し歩けよ乙女

これくらい温度がぬるい方が当たり障りなく、後腐れなく読めていいのかも知れない。ぶっちぎりの問題作とか気違いじみた文章を読み続けたら疲れるもんね。 なんにせよ学内文芸誌でも学内ローカル紙上でもないのに、こういうのが可能というのはある意味この大…

69

3連休だか海の日だか知らないが、雨で腐っている時は腐った小説でも、と思い、校長の机のシーンが読みたくてわざわざブックオフで買ってきた。思ったよりこのシーンが早い段階で出てきたのにびっくりしたけど、総じて村上龍らしくなく記憶どおりのバカバカし…

風の又三郎

蟲師読んでたらなんとなく気になって読んでみたけど、なんか、あまりよくわからなかった。自分として、宮沢賢治を神格化し過ぎな感が否めない。 風の又三郎 (岩波少年文庫(011))作者: 宮沢賢治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/11/17メディア: 単行本 …

今夜、すべてのバーで

日曜日の昼間っからつまらなくて酒浸ると死にたくなるわけだけど、ついでにもっとダメな人の話でも読んどくかと思い、読み返し。やっぱり面白いなあと思う。 アル中の主人公が入院して退院するまでの治療描写と人間描写で、アル中について下調べをかなりして…

青空感傷ツアー

まあ、俺は柴崎友香の小説が好きなので、何を言おうと結局いいという結論になってしまって意味がない気がするが、自分のために感想を書いておく。 いつもの彼女の小説のように、色気のない恋でふところにいくつか傷を持つ芽衣と音生の2人がトルコ→吉野川→石…

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

最近小説を読む気になれなくて、ちんたらちんたらしながらやっと読了。彼女の小説は疲れた脳みそにやさしい。特に「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」の方は、面白いと思いながら読み進めるのでなくて、なんかずるずると物語に引きずられていく感じなのだ…

その街の今は

やはり柴崎友香の小説は彼女にしか書けないなという当たり前のことを、考えたりしながら読み進めていった。この小説は柴崎友香が書いた小説に他ならず、独特の面白さと世界を持っている。 しかしながら、今までに読んできた彼女の作品に比べて何かが足りない…

アフターダーク

映画を意識したのだろうか、というような、他の村上春樹作品に比べて視覚的な小説。ただそれが機能しているかというと、機能していないだろう。彼の作品の中では駄作の部類ではないだろうか? まず、最初の描写からして、あんまり読者の気を引かない。これが…

斜陽

嫌いじゃない。なんか読んでて腹立たしいんだけど最後まで読ませてしまう魅力を持っている。この小説はかず子を語り手かつ主人公的に書かれているから、男にはかず子がどれだけ女を象徴できているのかがわからず、むむむという感想。文章の感じは心地よい。 …

女たちのジハード

これまた直木賞受賞作だしと手にして、3年くらい放置していたのを読んでみた。 女性作家が女性たちの物語を書こうとするとき、そしてその物語を読者が手にするとき、旧来のフェミニズムを多少なりとも思い出してしまうのではなかろうか?特に働く女性が描か…

リビング

重松清らしい、家族を描いた短編集。 まあ重松清という3文字がこの本を最も的確に表現している。特に書くことはないね。 リビング (中公文庫)作者: 重松清出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/10メディア: 文庫 クリック: 16回この商品を含むブログ (…

ターン

3年くらい前に友達に勧められておいて、読まずに放置してきた本。 確かにおもしろいと言えばおもしろいんだけども、ある特殊な世界を提示するための前半部、設定が退屈で読むのがめんどくさいと何度も思ってしまった。これは小説としてやはり致命的なことだ…